ゲストハウスのクララさん

ゲストハウスGolden Treesの管理人クララさんのちょっと変わった日常を綴ったブログ

目につくところを綺麗にすることが重要なんです。

「気をつけてお帰り下さい。またのご利用お待ちしております!」

昨夜から二泊三日、京都観光に来ていたお客様がお帰りになった。

「楽しんで頂けたようで良かったです」

クララさんはそういうと、掃除用具一式をもって、ご利用されていたお部屋へと向かう。

 

「掃除をする際に気を付けていること?」

 

掃除を終えて一段落したところのクララさんに聞いたことがある。

 

「そうですね……。細かいところまで隅々と、というのは勿論ありますし、要所要所で力を入れたりする部分などありますが」

「なんだかんだ、人が見ているところって、それほど多くないんですよね」

クララさんはそう言って、一つ溜めてから続けた。

 

「あえて一言で言うなら、光りモノは光らせろ、ですね」

 

光りモノは、光らせろ、分かるようで、なんだかわからない。

クララさんは、先ほど退出されたお客様のお部屋に入っていった。

「ホテルやゲストハウスを清掃するうえで大切なことなんですが、蛇口、シャワー、鏡、こういったところは、お客様がよく使うところ、つまりはお客様の目につきやすいところなんです」

そういいながら、洗面台など、水回りの清掃。汚れを拭き取り、磨く。特に蛇口など、明りを反射しながらも、その光の鈍いものについては念入りに磨いていく。徐々に光沢を出し始め、ピカピカになり始めた。

一つ一つを丁寧に仕上げていく。ゴミの確認やら、掃除機などは勿論のことだ。

「だから、そういったところをピカピカにしていれば、この部屋は綺麗だ、という感覚にも繋がります」

なるほど、シンプルでうなづける。

一通りの清掃が終わったと思ったところで、クララさんはタオルとガムテープを取り出した。

「加えて大切、というか当たり前ですが、髪の毛などが落ちていないこと。自宅だと気にしない人も多いでしょうが」

ま、自宅だろうと、ゲストハウスだろうと、関係ないですけどね。と、クララさんはつぶやきながら床を拭き上げていく。

「髪の毛など、細かいものを見つけたら、このガムテープで……、こんな感じに拾っていく」

フローリングが白っぽいと、黒い髪の毛って目立つんですよー、とクララさんは、吹き上げながら言った。

ちょっと楽しそうなクララさんである。ちなみに部屋にはlecccaさんの曲が流れている。

全ての清掃を終えた部屋は、またいつでも誰かが気持ちよく利用できるお部屋に戻っていた。光りモノは光っている。

「ね、光りモノは、光らせるべきなんですよ。お部屋を綺麗にした前提ですけど」

そういって、クララさんは、肩に着いた埃を取ってくれた。

「今日家に帰ったら確認してみます」

「ついでに全部掃除しちゃってください」

クララさんはそう言って、スマホのカメラを起動して、報告用の写真を撮った。いい写真だ。

(※この物語は実在の場所と施設と関わる人々を元にしたフィクションです。)